花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
それからすぐに家を出た俺と信司。


深夜一時、信司と並んで佐緒里ちゃんの自宅へとバイクで向かう。

俺の後ろ乗ればいいのに、と信司にぼやかれたが、二人がうまく行った時にこっそり帰る事が出来るようにこればっかりはと断った。


俺は佐緒里ちゃんの家を知らないから、信司の誘導についていく。
次の角を曲がれば佐緒里ちゃんの住んでる家が見えてくるみたいだ。


早々に家を出た佐緒里ちゃんは、そこでずっと一人暮らしをしているらしい。


「到着っと」


そこはあったのは二階建のコーポラス。
少し古びていて、照明が少なく薄暗い。

正直、佐緒里ちゃんのイメージではない。
もっと、新築のマンションとかに住んでるかと思ったから。


「…佐緒里、親父がダメな男でさ。
高校卒業してすぐに一人暮らししたんだよ」


隣に並ぶと俺の心中を察したかのように、信司が呟いた。


「そん時に佐緒里の事…守ってやりてえって思ったのにな」


じっと。
佐緒里ちゃんの部屋の場所であろう一か所を見つめて言う信司を見て、俺も視線をそっちに向けた。

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