花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「自分が死ぬってわかって…どんな気持ちだったのかな。
私にはわからないよ」
「……っ……」
うまく、息が出来なくて。
胸が苦しくて。
「でもさ、死ぬ以上に私は大好きな仲間置いてくのが辛い。
麻美はその気持ちが私以上に強かったと思うよ。
ね?哲さん」
コクコクと何度も頷く。
だけど。
俺の嗚咽は止まらない。
「あーあーしゃあねえな。大の男が」
朱美ちゃんは情けなく眉を下げて、口角を少し上げると俺の頭をぽんぽんと優しく叩く。
「辛かったな、哲さん」
「……あけ、み、ちゃん」
「ははっ。ったく。急に海に連れて来たと思ったら、泣くか?普通」
「ごめ…」
「謝るなって。
哲さんって、どこまでも真っ直ぐだよなあ。
…哲さん、抜け出せないんでしょ?」
「………」
「麻美を失った悲しみから」
泣きそうな顔でそう言う朱美ちゃんに、俺の目からは更に涙が溢れた。