ディズ・フォー・アスミ
プロローグ
俺の名前は小野リュウジ。ごく平凡な家庭に生まれ、今までごく平凡に暮らしてきた。そんな俺も中学を卒業して進学した。坂井工業高等専門学校と言う所に。そう、俺はこの春から「高専生」になったのである。
高専生はマイノリティってやつだ。全国に高校は無数にあるが、高専は七十校もない。高等学校と高等専門学校ではえらい違いだ。ある意味特殊な学校だ。高専と聞いてピンとくる人は少ないだろう。高専で有名な物があるとすれば、ロボコン(ロボットコンテスト)くらいだろうな。
高等専門学校は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする、後期中等教育段階を包含する五年(または五年六カ月)制の高等教育機関だそうだ。わかりにくいが、要は高校と大学の教育を五年間でやる学校だ。
俺はそんな特殊な学校に入学した。理由のは一つひ求人倍率が高いから。高専のパンフレットには「エンジニアを育成」などと書いてあるが、別にエンジニアになりたくて入学したわけではない。卒業して適当な会社に就職できればそれでいいと思っていたし。もう一つの理由は他の高校よりも自宅から近いから。歩いて三十分くらいだ。
入試は推薦だったが、面接時の試験官の質問に対する答えも、作文もかなり適当だった。適当でもいけるもんだな。
ここの高専は一学年に二百人いて、五学科あり一学科には四十人いる。そのうち、俺が入学したのは電子情報工学科と言う学科だ。略称はEIらしい。パソコンを使う授業が多いかと思って選んだのだ。化学系の学科で危なっかしい薬品を使うのも嫌だし、油くさい機械科も嫌だ。パソコンなら楽だろう、なんて甘い考えを持っていた。一ヶ月もすればそれが間違いだとわかるのだが。
高専の話はこれくらいにしよう。俺は高専の回し者じゃない。
とにかく、やる気はなかった。しかし、新しい生活に期待していた部分もあった。五年間も同じ仲間と一緒なら、馴れ合いと言うか、気兼ねなく楽しくやっていけるだろうとか。女の子を射止めて青春を送れるだろうとか。何と言うか、普通の学生生活ができればよかったのだ。
しかし、そんな俺の願いは崩れ去ったのだ。
高専生はマイノリティってやつだ。全国に高校は無数にあるが、高専は七十校もない。高等学校と高等専門学校ではえらい違いだ。ある意味特殊な学校だ。高専と聞いてピンとくる人は少ないだろう。高専で有名な物があるとすれば、ロボコン(ロボットコンテスト)くらいだろうな。
高等専門学校は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする、後期中等教育段階を包含する五年(または五年六カ月)制の高等教育機関だそうだ。わかりにくいが、要は高校と大学の教育を五年間でやる学校だ。
俺はそんな特殊な学校に入学した。理由のは一つひ求人倍率が高いから。高専のパンフレットには「エンジニアを育成」などと書いてあるが、別にエンジニアになりたくて入学したわけではない。卒業して適当な会社に就職できればそれでいいと思っていたし。もう一つの理由は他の高校よりも自宅から近いから。歩いて三十分くらいだ。
入試は推薦だったが、面接時の試験官の質問に対する答えも、作文もかなり適当だった。適当でもいけるもんだな。
ここの高専は一学年に二百人いて、五学科あり一学科には四十人いる。そのうち、俺が入学したのは電子情報工学科と言う学科だ。略称はEIらしい。パソコンを使う授業が多いかと思って選んだのだ。化学系の学科で危なっかしい薬品を使うのも嫌だし、油くさい機械科も嫌だ。パソコンなら楽だろう、なんて甘い考えを持っていた。一ヶ月もすればそれが間違いだとわかるのだが。
高専の話はこれくらいにしよう。俺は高専の回し者じゃない。
とにかく、やる気はなかった。しかし、新しい生活に期待していた部分もあった。五年間も同じ仲間と一緒なら、馴れ合いと言うか、気兼ねなく楽しくやっていけるだろうとか。女の子を射止めて青春を送れるだろうとか。何と言うか、普通の学生生活ができればよかったのだ。
しかし、そんな俺の願いは崩れ去ったのだ。