ディズ・フォー・アスミ
 俺は昔から超常現象なんて信じて来なかった。宇宙人や超能力なんて有り得ないって思っていた。百歩も千歩も譲って、地球外生命体がいたとしよう。しかし、それはSF映画に出てきそうな人類よりも高等な生物ではないだろう。そんな物が存在していたら、とっくに地球は侵略されていて今頃こんな風に平凡な日々を生活は送れていないだろう。
 超能力者がいたとしたら、今頃何が起きているか分からない。例えば、テレビに出てくるような、遠くの物を透視できる超能力者がいたとしたら、秘密基地の内部構造が丸分かりになって機密なんてあったものではないだろう。警察や軍に知られたら連れてかれて利用されるんじゃないか。ベタな所で、念じればスプーンが曲がるっていう超能力もテレビで紹介されてるが、スプーン曲げができて何の得があるんだ?金属加工業者にでもなった方がいいんじゃないか?
 遠い未来で自由に時間旅行が出来ているとしたらどうだ?いつの時代にも悪い奴はいるもので、いくら過去を改竄してはいけない、変えたら犯罪だ、と言ったところで、その犯罪を犯すものが出て来るだろう。そして、その犯罪者によって既に過去は改竄されているかも知れないのだ。自由に過去と未来を行き来出来るのなら、考古学なんてのはほとんど意味を持たなくなる。大昔に戻って当時の生活を観察してくればよいのだから。
 そんな感じで、非日常的な現象を俺は全く信じていなかった。ただ、時間旅行は出来てらいいな、なんて考えていたけどね。
 しかし、入学した後、有り得ない事象を信じざるを得なくなるとは思いもよらなかった。
 静山アスミに出会ってしまったために。
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