和田菜月物語
『菜月のこと嫌いだから』

そう言われた事が頭から離れない。

私は休憩時間に雅木を探した。

(ペアの雅木が何かしたのかもしれない)

ひたすら探した。
すると

「飯沼なら保健室だよ」

高島が笑いながら話してきた。

「高島…」

高島はため息をついて

「だから、僕は相川だって言ってるでしょ」

そんなことを言ってきた。

今の私にはそんな事に耳を貸せる状態じゃなかった。

「高島、あんたなんか知ってだでしょ」
「知ってるよ…」

私の本気がわかったらしく話を続けてくれた。

「何で教えてくれなかったの!」

怒って我を忘れた私を見て

「言ったじゃん、行かないほうがいいって」
「それだけだったじゃん」

「人の話を聞かない自分は許されるんだ…」

急に私は追い詰められてる気分になった。

「どういう事…」

「僕の言う事を聞いていたら変わっていたかもしれなかったのに」

「あんたに、何がわかるの!」

私はそう言って保健室に行った。

行く途中に休憩は終わった。

また学校は騒ぎ始めたが私には無音の世界だった。

保健室までの道が長く感じたのは2回目だった。

あの事件と同じ気分だった…。
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