和田菜月物語
そのサーブは今まで中で一番早かった。
みさでさえ返せなかった。

みさは茫然としていた。

「早過ぎでしょ…」

「私もびっくり…」

「やっぱりクラブ入ろう!!あっ…。今じゃなくてね…」

「考えとくよ」

「フフッ。じゃあ続けようか」

「うん!!」

そして始めようとした瞬間。
天は私達の戦いを止めるかのようにいきなり雷雨だった。

「はぁ!?嘘でしょ!?」

みさは怒りながらも私にタオルを渡してくれた。

「まぁまぁ…」

「だって…」

「どっちにせよ私の負けでしょ?」

私がそう言うとみさは首を振った。

「違う。ウチの負けだよ」

「えっ?」

「あんな早いサーブ…。返せなかった…」

「みさ…。でもゲーム的に…」

「いいの。ウチが話す。今回はウチの負け」

「本当に…?」

「うん。でも今度は負けないよ!!」

「うん!!もちろんだよ!!」

そしてみさは私にお茶を渡してくれた。

「じゃあ話そうか…。ウチが聞いた事をまとめた事を」

そしてみさは話しだした。
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