和田菜月物語
その時の同じ頃。

「すごい雨…」

「そうですね」

そこに居たのは前田。

「そう言えば本当にクラブ廃止にしてくれたんですね」

「別に私の力じゃない」

「そうですか」

一緒に居る人は前田を見た。
それは…。

「あなたは何をたくらんでるの?」

「それはあなたと同じです」

『杉本先生』

希ちゃんは前田を見て笑った。

「あのね私をあんたを一緒にしないで」

「そうですか。でも結果は同じでわ?」

「違うわ。私は和田や大川、大山や中井、飯沼や片桐、そして西山…。そいつらを巻き込む気は無い」

「それはそうですね。なんにしろそいつらはあなたの『表』の時の生徒ですもんね?疑われちゃ困りますね」

「何が表だ。私はあんたと違う」

「いいや。同じだ、同類だ」

「違う!!お前は悪魔だ!!いや…。心も何にもないただの人形だ!!」

「人形…?」

「茶木に動かされてるただの人形だ!!いや、今は上原か?」

「全て見透かされてるって感じですね」

「私はお前のために1組に転入させて、体育祭で今川が怪我するようにした、そして沖縄に…」

そして希ちゃんは前田を冷たい目で見た。

『お前と母親を再開させた』

そう言うと希ちゃんは前田から離れて行った。

「そう…。あなたの…」

そして前田はポケットから『光る物』を取った。
それを手に前田は希ちゃんの所まで走った。

「ぅあっ…」

希ちゃんは声を上げた。
『光る物』は希ちゃんの腹の部分を貫通していた。

「ちょっと勘違いしてますよ?先生」

「まっ…、前…田…」

そして今まで笑ってた前田の目はごみを見るような目に変わった。

「俺が1組に転入したのも、今川を怪我させたのも、沖縄に母に会ったのも」

悪魔の笑いで前田は希ちゃんを前に押した。

『すべて俺のおかげだ』

そして希ちゃんはその場に倒れた。
前田は『光る物』を取り歩き出した。

『そうだろう?前田希さんよ…』
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