和田菜月物語
それを聞いてビックリしたのは私とせな以外だ。

「そうだったの…」

未来はすごく切ない顔をしていた。
そして飛鳥は希ちゃんの顔を見た。

「じゃあ希ちゃんの兄さんが亡くなったって事は誰が前田を育てたんだ?」

飛鳥の質問に希ちゃんは黙り込んだ。

「希ちゃん?」

「…知らないの」

「えっ?」

「兄さんはかばってすぐ死んだんじゃないの…」

「どう言う事だ?」

「あの後病院に連れてって何とか命に別状はなかったの…。でもそれからすぐ帰らぬ人となった…」

そして希ちゃんは意味深な事を言った。

「しかも小太郎と面会した後に…」

するとせなが口を開いた。

「前田は父親にこう言われたらしい…」

すると一斉にみんながせなを見た。

「どう言う事なの高島!?」

希ちゃんは声を上げた。
やっぱりせなの事も知ってたか…。と言う顔をしているせな。

「前田がこの前言ってたんだ…」

「何て?」

するとせなは切なそうに笑って言った。

『強くなれよ…。ってね』

そしてせなはもう一つ言った。

「そして前田の父親は自分で酸素マスクを外したんだ…」

それを聞いて希ちゃんは頷いた。

「そうだったのか…」

「希ちゃん?」

「だから前田は…」

希ちゃんはせなを見た。

「その後に小太郎は茶木の所に行ったのね」

「はい…」

その2人の会話にもちろんみんなは…。

『えぇ～～～!!??』
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