和田菜月物語
[プルルルル]

それは突然の電話。

「誰からだ?」

私はそう言って電話に出た。

「はいもしもし、杉本ですが」

【あっ、こんにちは。こちらは茶木総合病院ですが、前田希さんですね?】

「そうですが…」

【実はお伝えしたい事があるのですが】

「は、はぁ…」

【実は前田望さんと前田小太郎君が今日山登りに行って崖から落ちてしまい…】

私は目の前が真っ白になった。
そして受話器を落としてしまった。

【もしもし?希さん?大丈夫ですか?」

私は電話を切って病院に向かった。

「兄さん…。小太郎…」

病院までの距離は車で30分位だ。
けど私は急ぎ過ぎて走って行った。

走っても1時間は過ぎてしまう。

「お願い…。無事で居て…」

その時山の方面から急いで走って来た人とぶつかってしまった。

「す、すみません!!」

私がそう言うとその人は何も言わず焦った様子で走って行った。

「何あの人…?」

私は少しの間その人を見て突っ立っていた。

「そうだ、兄さんと小太郎が!!」

前を向き私はまた走りだした。
私は無我夢中に走っていた。

気付いたら着いていた。

「ここに兄さんと小太郎が…」

私は恐る恐る中に入った。


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