和田菜月物語

真実

「そして兄さんの言ってた奴を見つけてここに来た。と言う訳だ」

「その人って誰ですか…?」

未来は泣きそうな顔をしながら聞いた。
きっと前田と希ちゃんの気持ちを悟ったのだろう。

「言っても良いけど…。聞く勇気はある?」

みんなは黙り込んだ。
けど飛鳥は違った。
希ちゃんを真っ直ぐ見て答えた。

「聞く!!ウチは真実をしりたい!!」

希ちゃんは一つの言葉に反応した。

『真実』

そうだ。
私達は『真実』を知りに来たんだ。

「わ…、私も!!」

私はそう叫んだ。

「じゃあ私も聞きたい!!」

未来も私に続けて言った。

「麻奈も!!」

麻奈は笑って言った。

「俺も聞きます」

雅木は真剣だった。
西山はそれを見て無言で頷いた。

「俺も聞きます。杉本先生は無断であんな事する人とも思えないので」

せなはそう言った。

「あんな事って?」

麻奈はせなを見た。

「俺からよりは先生からの方が良い事だ」

麻奈の頭の中は『?』でいっぱいだ。

希ちゃんは笑って答えた。

「まぁそうだな。じゃあそれも入れて話そうか」

そして希ちゃんは窓を見た。
まるで顔を見られないようにと…。

「兄さん達はある人に落とされたんだ。そいつを探せって言われてたんだ…。そして見つけたんだ。それはあの時ぶつかった人だった…」

そして希ちゃんは口を噛みしめながら言った。

『私らの中学校の校長だったんだ…』

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