和田菜月物語
「そんな…」

「じゃ、じゃあ…。運が悪かったからって事…?」

未来は顔が真っ青になりながら言った。
希ちゃんは握り拳を作った。

「違う!!兄さんはあいつを止めようとして落とされたんだ!!」

希ちゃんは叫んだ。
そして希ちゃんはお腹を痛んだようでお腹をさすった。

「叫んだら傷に響くから落ち着いて…」

未来はそう小さく言った。

「そうだな…。ごめん…」

そして落ち着いて希ちゃんは言った。

「兄さんはあいつが山の頂上に火をつけようとした所を止めたんだ…。そしたらあいつは逃げた。そして兄さんと小太郎は追いかけたんだ…」

希ちゃんの目には涙が溜まっていた。

「そしてあいつは小太郎を突き落としたんだ。それをかばって兄さんは…」

希ちゃんはゆっくりと涙を流した。
その涙はキレイだった。
お兄さんと前田を思う気持ちが流した雫。

「わかりました。もう…、良いです」

未来はそう言った。
飛鳥はその後にこう聞いた。

「じゃあ何でまた前田はここに?」

飛鳥がそう言うと希ちゃんは少し微笑んだ。

「会いたかったらしい…。大川に…」

「大川?」

私とせな以外みんな分かってないようだ。

「まぁこの話はまた大川に聞いてみな。それに理由はもう一つあるしな」

「もう一つ?」

希ちゃんは笑った。

「茶木を追いかけて来たんだ」

「翔子を…?」

「そうだ」

そして私はある事が頭に浮かんだ。

「もしかしてあの病院って…」

「おっ!さすが和田。正解だ」

そうか…。
あの時の病院は翔子の病院だったのか…。

「まぁこのクラスにした理由は簡単だ」
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