和田菜月物語
「だ、だ、誰なの!?」

未来は興奮している。
私は反対に冷静だ。

噂は何度か聞いた。

確か新しい仕事場の仲間だとか…。
それか…。

「教えてよ飛鳥ちゃ~ん」

「い、いやぁ…」

「何?もしかして知ってる人!?」

「い、いやぁ…」

「じゃあ誰?」

「い、いやぁ…」

「そればっかじゃん!!」

未来は頬をプクっと膨らました。

「ま、また教えるから…」

「絶対だよ!!」

「う、うん…」

飛鳥は完全に引いている。
しょうがない…。

私も引いたから…。

「それより何か食べようよ」

麻奈は場を和ませるように言った。

「そうだね。私も食べたい!!」

私はニコニコしながら言った。

未来も飛鳥も笑って頷いた。

私と麻奈は同時にため息をついた。

「じゃあ何が食べたい?」

私達は顔を見合わせて同じ事を言った。

『カレー!!』

まぁ理由は簡単。
料理対決で優勝した時に作ったからだ。

「よろこんで!!」

そう言って麻奈は料理を始めた。

「楽しみだね」

「うん!!ウチは7年前以来だよ~」

「飛鳥ちゃん…。どんだけ食べてないのよ…」

「だって…。カレー食べたら…」

飛鳥の言いたい事はだいたいわかった。

「思い出しちゃうんだよね…」

私は飛鳥を見て言った。
飛鳥は頷いた。

「もしかして…。飯沼君の事?」

未来はビクビクしながら飛鳥に聞いた。

飛鳥は無言で頷いた。

「まぁ今は大丈夫だけどね」

飛鳥は作り笑いをした。

そんな話をしている最中にカレーは出来た。
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