和田菜月物語
「へ~、何か面白くなりそうだぞ。」
「さすが飛鳥だね!」
「うちの自慢だからね。」
「言っとけ言っとけ。」
「未来はどう?」
「・・・え?」
「どうしたの?ボーっとして」
「未来らしくないじゃん。」
「いや…何にも…」
「顔赤いけど大丈夫?」
「えっ!うそ!」
「そんなに動揺しなくても…」
「菜月、未来をいじめるなよ!」
「いじめたつもりはないけど…」
「ううん!本当に何にもないからね!」

私はなんとなくわかった。
未来はある人を見ていた…。
それは転入生の
『飯沼雅木』だった。
未来はきっとあの人の事
気になってると思う。
だから私が「顔赤いけど」って言った事に反応したんだと思う。

二人の席は
大川が飛鳥の隣で飯沼が私の隣だった。
未来には少し申し訳ない気持ちになった。

「よ、よろしく!」
「ん…」
(ん…って何だよ!)
そんな事を思っていたら5時間目が終わるチャイムがなった。

飯沼は
転入早々から寝てばかりだった。
大川はと言うと友達もいっぱいできていて
クラスの中でも人気な男子だ。

「亮磨遊びに行くぞー」
「おー、待ってろ」

「飛鳥の隣の人相変わらず人気だなぁ~」
「菜月隣の人はどうなのさ?」
「何か謎な男だよ…」
「さっき初めての授業で寝てたもんな」
「ほんと、暇だったよ」
「いつも暇だろ」
「確かに…そう言えば未来は?」
「未来なら先生のとこ行ってたぞ」
「そう言えばもうすぐ文化祭か」
「それと未来が関係してるのか?」
「未来は文化祭実行委員じゃん」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
「男子は決まったのか?」
「今から6時間目に」
「ダリィ~」
「飛鳥も十分暇じゃんか…」
「うん?」

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