和田菜月物語
私は、逃げた。
早くこの人から逃げたかったから。

でも
前田は追いかけてこなかった…

私は
怖くなって外に出た。
すると
  バンっ!
と、誰かにぶつかった。

「ご、ごめんなさい!」

そう言って前を見るとそこに居たのは…



その頃
前田はと言うと。

「もしもし」
【あっ、小太郎?どうそっちの方は?】
「せなの事は元々知ってて、俺の事も今日知られた」
【そっか…】
「ごめんな…」
【ううん。いいの】
「それでいいのか?お前は」
【うん。菜月の事分かってるもん】
「さすがだな」
【知ってるよ~】
「生意気な奴。で、いつまでそっちに居るんだ?」
【2020年まで】
「20歳の時に計画を実行するのか?」
【うん。その方が親にも迷惑かけないし】
「かしこいねぇ~」
【ありがとう】
「何がだ?」
【また、菜月と話せる機会を作ってくれて】
「お前の頼みだろ。良いに決まってるだろう」
【でも、菜月は許してくれないだろうね…】
「俺が何とかする!」
【ありがとう…】
「じゃあもう切るな」
【うん、バイバイ小太郎】
「じゃあな、翔子」

その電話が終わるころと同時に
私の目の前の人は倒れた。

目の前に居たのは…

『篠山雛』

この子は知っていた。
すべてを…。
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