和田菜月物語
次の日の登校

春樹は何かを考えてるみたいだった。
私はそれに気づいた。

「やっぱり変だよ!どうしたの?」

そう言うと
春樹の顔が真剣になった後に、
ニコッと笑って

「いや~。実は勉強についていけなくてさぁ…!」

春樹の笑顔は作り笑いだった。
私は聞くのがもっと怖くなった。
あの作り笑いは恐怖だった。
裏では何かを企んでいる感じだった。

「そっか、じゃあ勉強会しようか…」

そう言うと春樹は満面な笑顔で

「おう!じゃあ今度俺の家でな!」
「わかった。また聞いとくね」

そして教室に行くと
みんなが黒板に集まっていた。

私は
すぐそこに居た石川光に聞いた。

「なんの騒ぎ?」

そう聞くと前を向いたまま

「転入生が来るんだってさ」

そうれだけ言ってどこかに行った。
これが当たり前の事だが…

「ちょっとはこっち見てよねぇ…」

いつも愚痴を言っている私だ。

ムスッとしていたら後ろから

「アイツはしょうがないよ」
と、言われた。

「あっ、萌恵…」

川上萌恵
見てわかるぐらいのオタクだ。
賢さは人以上だ。

「何がしょうがないの?」

そう聞くと

「アイツはオタクだからね」
「そうだけど…」
「オタクってキモイよねぇ~」

私は心の中で
(あなたもでしょ…)
と、思っていたが言わなかった。

「それはそうと、転入生って?」

そう聞くとこっちを見て

「片桐麻奈って言う子が来るんだと」

そう萌恵が言った時
春樹が反応した。

「どうかしたの?春樹」

そう聞くと春樹はビクッとして

「う、ううん何もないよ」
と、焦り気味に言った。

その時の春樹は悲しい顔をしていた。
それに気づいた時、
私は何も知らなかった。


< 72 / 261 >

この作品をシェア

pagetop