和田菜月物語
「なんとなくって意味分かんない」
「まぁまぁ俺の言う事も信じろよ」
「もう冗談はやめて!」

私は、走った。
どこなのかわからないくらい走った。
そしたら誰かにぶつかった。

「ごめんなさい」
「お前、和田だろ?」
「あっ!大川亮磨!」
「お前教室に戻らないのか?」
「い、今から戻るの!」
「真逆だぞ?」
「う…」
「まぁ何があったかは聴かないけど1人で落ち込むなよ」
「えっ?」
「じゃあ俺は行くな」
「バイバイ…」
「おう!」

初めて男子に心配された。
私は変な気持になった。

「あっ!和田!」
「は、はい!」
「飯沼が心配してたぞ。後で会ってやれよ!」
「うん、わかった…」
「じゃあな菜月!」
「えっ?今名前…」
「お前も俺の事名前で呼べよ!」
「わかった、亮磨…」
「おう!菜月!」

こんな気持ちになったのは初めてだった。
あったとしても、もう忘れている気持ち。
何かはわからない…。

「菜月!」
「はい!」

そう言って名前を呼んだのは飯沼だった。

「飯沼…」
「お前大丈夫か?」
「うん平気だよ!」
「そっかよかった…」
「何かあったの?」
「えっ?何で?」
「ここまで来たから何かあるのかなぁって」
「そう言うことか…」
「ん?」
「あの、文化祭のペアの事」
「私の分も決まったの?」
「うん…」
「誰とペアになったの?」
「大川亮磨…」
「亮磨!?」
「呼び捨て!?しかも顔赤いし…」
「えっ!」
「お前俺も呼び捨てにしろよ」
「はっ?」
「わかったか?」
「うん…」
「それと、俺らのクラスお化け屋敷だから」
「うそ、無理!」
「俺らが脅かすのにか」
「もう嫌!」

雅木は、微かに微笑んでいた。

「そう言えば雅木のペアは?」
「大山未来」
「ウソ!」

私は心の中で喜んだ。

「俺は違う奴が良かった…」
「えっ?なんて言ったの?」
「何もない」
「あっそ…」

それから教室に行ったら知らない男子が居た。

「誰あんた?」
「あなたと関係ない人」
「転入生?」
「違うよ」
「じゃあ何?」
「あなたの心友の友達かな…」
「飛鳥と未来?」
「ちがう…」
「じゃあ誰?」
「茶木翔子」
「えっ…」
「和田菜月、あなたはきっと後悔する」
「何で私の名前知ってるの!?」
「知ってるよ全部」
「えっ?」
「大山の事、中井の事、飯沼の事、大川の事…」
「そして、翔子さんの事」
「あんた誰!?」

私は強めに言った。
謎の男子は笑顔で言った。

「あなたの後悔のもとになる3人の内の1人」
「3人?」
「うん、俺は明日から学校に来るからね。」

そう言って教室に出ようとした。

「まって!」
「何か?」
「あんたの名前は?」
『高島せな』

そう言って消えていった。
こいつの言っていた事が本当なんて…。
まだ、わからなかった…。

残りの2人には会うのだろうか…?
そんな事を考えて私の1日が終わった。
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