王子様たちのひまつぶしっ!?
面白いことって、ハサミ投げたこと?


あだ名は…だってそれしか思い付かなかったし。


…あと別に私は好きで怒鳴っているわけではないので。


「…俊」


ひとしきり笑ったあと、俊父は俊君に視線を移した。

それは、すごく真剣で。


でもどこか優しい、“父親”の顔。


「今回の婚約は、なかったことにしてもらうよ。今まで厳しすぎて悪かった」


そう言って俊父は軽く俊君に頭を下げた。


「…それから、明日久しぶりに二人で外食でもしにいこう。学校が終わったら、迎えにいくから」


「分かった」


俊父は俊君の返事を聞くと、くるりと向きを変えて私にいったんふっと微笑んでから、「俊を大事にしてやってくれ」って言って、またどこかへ歩いていってしまった。
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