王子様たちのひまつぶしっ!?
この妙に落ち着いているような、ムカつくぐらいに美声な声の持ち主は、私の知る限り一人しかいない。


そして恐らくその人は今最もこの状況で会ってはならない人No.1の人だ。


「か…海斗…」


嫌な予想は嫌な意味で見事的中。


真上には、しゃがみながら私を見下ろしている海斗がいた。


「…上げてあげようと思ったけど、やっぱ止めよ。キス魔みたいだしね」


そう言って立ち上がってくるりと向きを変えてしまう海斗。


「嘘っ!嘘っ!撤回撤回っ!」


このままでは本当に帰りかねない海斗の背中に、撤回の言葉をぶつける。


すると、また向きを変えてこっちに戻ってきた。
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