パパはアイドル♪vol.3～奈桜ｸﾝの呟き～

奈桜の右手が弱々しく甘い香りを包み込む。
妖しい花に魅せられた蝶々のように、それは自然な成り行き。
細く華奢な背中。
柔らかな髪。
夢にしてはやけにリアルな感覚。


これは夢なのか幻なのか？
奈桜の中ではよく分からない。
痛みから幻想を見ているのかもしれないし、頭を打って変な妄想的な夢を見ているのかもしれない。

まぁ、どっちみち現実ではない。

でも、何故か気持ちが落ち着いてそのまま眠りに落ちて行く。




甘い香りの花の中で誰かが笑っている。
真っ直ぐにこちらを見て首を少し傾げて。
その笑顔はとても愛らしく、つい抱きしめたくなる。


梓？
違う。
桜？
違う。
誰だ？


キミハダレ？