パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
背中はすでに赤紫のあざが浮かび始めている。
その範囲は背中一面。
あまりの痛々しさに目を背けたくなる。


「奈桜……さん、病院に行きましょう。いえ、絶対に行くべきです」


「何で?骨でも出てる?」


「出てません!出てたら大変です!冗談はいいですから。ほんとに」


呆れたように言いながらも、石田の目には何故かうっすらと涙が浮かんでいる。


「大丈夫だって。ほんとに。打撲だからさ、あざとか出来てるんでしょ?あぁ、それがひどい?石田さんも女の子だなぁ。あざって大抵、ひどく見えるんだよ。特に次の日。それとかお風呂。結構、重症に見えるよね。けどさ、あれ、見た目ほどでしょ?一番痛いのは打った時だよ。だから心配しなくていいよ。ありがとう」


違う。まだかなり痛いはず。
奈桜は相当我慢している。
それは秋月さとみへの気遣いか、今後の仕事への責任か。
今後の仕事への責任の方が大きいと石田は思いたかった。
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