パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
石田はゆっくりと、出来るだけ奈桜が痛くないように湿布を貼って行く。
手元に集中しているはずなのに何故か溢れる涙を止められない。
マネージャーとしてこうなる事を防げなかったのか。
これは防げた事故なんじゃないだろうか。


そして。
きっと奈桜はこの姿でいつもと同じように仕事をする。
痛い顔を見せずに歌って踊る。
笑顔で。
それがアイドルだから。
仕事だから。


「申し訳ありませんでした」


つい、口から漏れた。


「どうしたの?石田さん、関係ないのに。階段から勝手に落ちたのオレだよ。相変わらず面白いなぁ」


「えぇ。面白いです。ただ……、助けられませんでした。以上です」


『何、それ?』と奈桜は笑って、『いてて…』とまた笑った。



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