パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「やめろって言った所で止めないだろ?」


『そりゃ、そうだけど』と奏は小声で呟くように言う。
昨日の今日でこんなに動くなんて。
治ってるなんて有り得ない。


「心配するのは分かるよ。でもさ、あれだけ動けてるんだから。大丈夫だよ」


奈桜を見つめている泉の目が優しく笑っている。
そうかもしれない。
周りがとやかく言った所で何も変わらないだろう。
意固地になってしまうかもしれない。
仕事に対する責任もあるはず。
どれも、待ったのきかない仕事。
誰も何ひとつ代われない。
奈桜の仕事は奈桜がやるしかないのだ。
今。


「そうだね。あっ、オレ、飲み物、買ってくる」


納得した奏がそう言って後ろを向いた。


「えっ?どうしたの?なんでここに?」


奏の驚いた声に泉も振り返る。
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