パパはアイドル♪vol.3～奈桜ｸﾝの呟き～

「あ、おはようございます。昨日は本当にありがとうございました。今日はお礼とお詫びに……。あのぉ、奈桜さん、もしかして踊ってるんですか？」


廊下の、そこだけ花が咲いていた。
ふんわり巻いた茶色の髪は柔らかく揺れ、ピンクの濡れたくちびるが少し開いて笑っている。
口元のホクロは表情の幼さに色気を加えている。

秋月さとみだ。
オフホワイトのセーターにブルーのミニスカート。
黒のブーティーが全体を引き締めてよく似合っている。
背が低いのを気にしているのかヒールは高かった。


「えっ？お礼に？わざわざこんな所まで？」


奏は嬉しそうに小走りでさとみに近付く。
この男は本当に人を疑う事を知らない。
それを見ていた泉の視線は鋭くさとみを見る。
何かを感じて。