パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
第7章 アメジストの囁き
~無邪気~
「長かったな。腹、壊してんのか?」
稽古場に戻った心は後ろから羽交い締めにされた。
耳元でクククッと楽しそうに笑う声が聞こえる。
「やめろって。お前、子供か?」
「子供だよ~」
奈桜は、碧から心はトイレだと聞かされていた。
なかなか戻って来ないので、よほどの下痢だと思ったらしい。
「振り付け、出来たのかよ?」
なんとかじゃれる奈桜の腕をほどく。
「おぉ。出来た。出来た。へへ。可愛いのが出来たから。心のソロのパート。めっちゃ可愛くしたから。ファンのコもきっと喜ぶよ」
「お前さぁ、ファンが喜ぶのも大事だけどさぁ。可愛くするのやめてくれない?いつもオレだけぶりっコなんだよ。碧みたいにキメさせてよ。たまには」
『ヤダよ』と笑いながら奈桜は泉たちの方へ走って行く。
「痛いくせに無理しやがって」
心も笑いながら輪の方へ走った。