パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「もう、奈桜には近付かない方がいい。これ以上、奈桜の事務所を怒らせない方がいい。分かるね?」


さとみはくちびるを少し開けたまま、言葉は出てこない。
何をどう言えばいいのかまとまらない。
これ以上、奈桜の事務所を怒らせればどうなるかくらい分かる。
今の自分の人気も仕事も何もかもを失う事になるだろう。
『構わない』
とは言い切れないもう一人の自分がいる。
それが今、分かった。


「好き……なのに。好きになって欲しいと思うのはイケナイ事なの?好きになるかどうかは相手次第なのに。……順番がそんなに大事?私が遅かったの?」


「何でもアリなら世の中無茶苦茶になる。この世界は一定のルールを守って平和を保っている。それが生きていく上でのモラル。恋愛もそう。人間同士なんだから。守るべき事は守らないといけない。人のものは盗っちゃダメだ。例え本気だとしても。人のものと分かった上で誘惑するのは許されない。特に『雨宮奈桜』は」
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