パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
フフッと神川がうつ向いて笑った。


「一般論として。オレがもし結婚してる人を好きだとして」


さとみの真っ赤な目が神川を真剣に見る。
そこには『嘘はつかないで』という思いが強く溢れている。
今のさとみは、何でもいい、何か支えが欲しかった。
神川の決定的な弱味。
神川が傷付く姿。
何でもいい。
このままでは終われない。


「オレなら……奪い去る」


さとみの目がパッと輝いた。


「彼女を苦しめるもの全てを」


「えっ?」


「その人の事を本気で好きなら、究極、相手に望む事はその人の心からの幸せだと思っている。自分に振り向いてもらえないのなら、その人が一番好きな人と幸せになって欲しい」


「優等生発言はやめて!」


さとみの声が大きくなる。
< 138 / 222 >

この作品をシェア

pagetop