パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「う……ん。聞いてない。たまに帰って来ても真っ青な顔しててさ。……もしかして病気を隠してるのかもしれない」


一気に顔がどんよりした。
雨雲が立ち込めた空より暗い。


「えっ?それって良くないだろ?聞いてみなよ。夫婦なんだから。隠す事じゃないよ」


「そう思うんだけどさ。『何も聞かないで』オーラをバンバン出してるんだ。何か触れちゃイケナイ事みたいになってる」


いくら夫婦といっても。
夫婦だからこそ、踏み込めない一歩がある。
上手くやりたいから互いに気を遣って。
自分の中で苦しくなる。


「そうか……。どんな感じ?辛そうなの?」


泉は何とか奈桜の心を軽くしたい。
何か糸口が見つかれば。


「辛そう……。前に、オレが帰ったらトイレの便器にしがみついて吐いてた。それって腐ったもんを食べたって事だよな?」
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