パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
何も答えずうつむく梓に奈桜は言葉を続ける。


「あのさ、もしかして梓の事務所から誰かに言うの止められてる?何か大きな仕事が控えてるとか?治療してる間は言えない?……同じ仕事してるから分かるけど。口外出来ない事、ある。うん。例え家族でもどこから漏れるか分からないってのは分かってるつもり。だけど。だけどさ」


梓の顔がどんどん曇って行く。
『やっぱりか』
奈桜の気持ちも沈んで行く。


「誰にも言わない。どんな事を聞かされても。桜にも言わない。信じて。このままじゃ、オレも苦し過ぎる。自分ならいい。大切な人が苦しんでる姿は耐えられない」


辛そうに話す奈桜の声が梓の心に落ちて行く。
誤解を解かなければ。
奈桜を苦しめるつもりはないんだから。
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