パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「違う。……違うの。そうじゃない」


梓の重い口がゆっくり開く。
心臓は破裂しそうなほど大きく激しく打つ。

もう『その時』が来たんだ。


お互い、それぞれの想いが複雑に交差する。
奈桜は何も言わず梓を見つめるしかない。


「私……ね、』


浅く深呼吸して奈桜を見る。
優しい眼差しが自分を包み込んで行くようで、梓はたまらない気持ちになる。


やっぱりこの人が一番好き。
今すぐこの人の腕に抱かれたい。
この人の子供が自分のお腹にいる。
そう。

『奈桜が好き』


「赤ちゃんが………できたの」


はにかむように梓が言った。


「……え?」


意味が分からないようで、奈桜はきょとんとした顔で梓を見る。
鳩が豆鉄砲をくらったような顔って、きっと今のポカンと口が開いて目を丸くした奈桜の顔の事だろう。
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