パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「え?え?今、何て言ったの?」


聞こえていただろうに、信じられないからもう一度聞く。


「もうじき二人のパパになるの」


「マジか?え、マジで?マジなの?梓」


驚く奈桜に梓はコクンと頷く。


「やったぁ!ありがとう!梓、ありがとう!いや、おめでとう!」


奈桜のテンションが一気に上がる。
ガバッと立ち上がると梓に近寄り、思いっ切り抱きしめる。
そして、ハッと思い出したように飛び退いた。


「ごめん!痛かった?大丈夫?赤ちゃん、苦しくなかったかな?」


またそっと近寄り、梓のお腹を優しく撫でる。
不思議な事に奈桜の顔は優しいパパの顔になっている。
娘の桜がいるからパパの顔で当たり前だが、今まで梓と二人の時は一人の男、『奈桜』の顔だった。
梓は嬉しいけど、ちょっぴり淋しさも感じた。
こうやって、夫婦の関係は変わって行くんだろう。
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