パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
第10章 ピンクと黄色のチューリップを胸に抱いて
~飲み込んだ言の葉たち~
妖しいほどに咲き誇っていた桜の花。
そのピンクの花びらは、今は道の端に流れる帯となっている。
風に舞う姿は切なくもあり、最後の華やかさのようでもあり。
奈桜は仕事の少し空いた時間に公園に来ていた。
ぶらぶらと歩いているうちに見つけた、知らない公園。
「ここ、いいなぁ……」
平日の午前中ということもあり、ほとんど人もいない。
小さな池があってベンチもある。
そこに座れば目の前に桜を堪能出来る。
ここはまだ花見が出来るだけの花が咲いている。
奈桜は時計で時間を確認すると、 ベンチに腰を下ろした。
陽射しは近くの木でちょうど遮られる。
休憩するには申し分ない所だ。