パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「この仕事なんとかならないかな?出発はまだみたいだったし、今から行けば間に合うんじゃない?」


みんな黙り込む。
何とかしたい。空港へ行かせてあげたい。
でも、もうすぐロケに出発する。



「奈桜、急げ。今、石田さんが車、回してくるから」


戻って来た碧がドアを開けるなり急いで奈桜に指図する。


「えっ?」


みんなも驚いて碧を見る。


「でも今からロケ……」


口ごもる奈桜の腕を泉が引っ張って立たそうとする。


「急げ。奈桜」


奏も頷いて奈桜を見ている。


「でも……」


何とか立ち上がらせたものの、奈桜の体は斜めに傾いて、ちゃんと立ててはいない。
気分が乗らないようだ。


「みんなの言う事を聞いた方がいいよ」


テーブルのタロットカードをめくっていた心が最後の一枚をめくりながら言う。


「最後に女神が微笑んでいる……」

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