パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
何気に横に並んで顔を覗き込んでいる。
一回、ゆっくりまばたきしたのはわざと?
まるで子犬のような人懐っこさと、子猫のような誘う瞳。
これが無意識なら、女として『天才』だろう。
この容姿で、まさに無敵。


「あぁ、ごめん。オレ帰らないと」


意外と素っ気なくかわしてしまう。
これにはさとみも少し傷付いてしまった。
少しも考える間がなかった。


「奥さん、怖いんですか?私、誘惑なんかしませんよ」


「いやぁ、秋月さんになら誘惑されてみたいよ。誘惑してくれるなら行ったのになぁ。じゃ、お疲れ」


爽やかな笑顔で去って行く奈桜の背中に、『嘘つき!』と心の中で叫ぶ。
水無瀬梓のどこがいいの?
この疑問はさとみの頭で常に巡っている。
雨宮奈桜には自分が一番ふさわしい。
これも常に思っている。
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