パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「いるよう気がするんです」


「誰が?眠いしさ、分かるように言ってよ」


運転に集中しているからか、何か考えていたのか、少しの間があった。


「週刊誌の記者がマンションの周りにいるはずです。気付かれにくいようにしていますが、何となく感じます。いるはずです。奈桜さんか梓さんを張ってるはずです。オメデタでないなら不仲説……」


「な訳ないだろ?」


『それならいいんですが』と、前を向いたまま表情を変えず答える。
マネージャーの石田は仕事のデキル女。
堅い姿勢を決して崩さず、奈桜の仕事面を全力で支えている。
奈桜も石田を信頼している。


「とにかく気を付けて下さい。例え夫婦の事と言えども芸能人である以上、事務所も無関係では済みません。もし何かあるのでしたら早目に連絡して下さい」


『分かってる』心の中で奈桜は呟く。
何もないのに。
何かを起こそうとするのがこの世界。
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