恋模様*【短編集】




笠原くんの視線の先には、







………………和樹、がいた。






「黙って見てるなんて、お前も趣味

悪ぃな?」



挑発するような言い方に、


和樹は平然と



「は?敦美が俺を選ぶことは

わかってたことだし 焦る意味なんてねぇよ」



そう、答えた。





その瞬間に、


止まっていた涙が再び流れた。





「ちっ……くそっ…」




笠原くんは和樹の答えに


舌打ちをして、何も言わずに


去っていった。










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