UNDER SKY
青年の言葉を聞いて、この空が少し好きになった。
雲ひとつない―――飾りのないこの空には何をさらけ出してもいいような気がした。
「ちなみに僕はこの、朝ぞらがすき」
「・・・何で?他にもきれいな・・・夕焼けとかあるのに」
「あ、秘密だから」
え、なにそれ。気になる。
「それより、お兄さん。会社平気?」
「あ」
青年が見せてくれた携帯端末の時計は電車の発車時刻の五分前を示していた。
「やば」
まだ間に合うだろうか。
ここから駅まで徒歩で五分。
―――走れば間に合う。
「ごめん、いい話、ありがとう!」
「あ、お兄さん!」
走りだした俺を青年が呼び止める。
「ここ、週末に空好きがよく集まるんだよ。お兄さんも暇だったら来てみて」
初めて見たときのように笑った、名も知らぬ青年に俺は
「っとと・・・」
格好悪くも躓きながら、親指を立てた。