UNDER SKY
夏空は
安西 恵凛 side(あんざい えりん)
お見舞いに来てくれる友達は日に日に少なくなっていった。
最初の一か月は皆で来てくれたりしたのに。
テストが・・・とか、迷惑かと思って。とか言って来てくれない。
今ではもう、誰も友達じゃないみたい。
あれから二年。
気がついたらベットに寝ていた状態から、二年。
小学五年生だったのに、もう中学生になってしまった。
卒業式にも入学式にも出られないまま。
何で気を失ったのか、何の病気なのか、何で・・・外に出してくれないのか、誰も教えてくれない。
きっと母親の計らいだと思う。
心配性の母が私に病名を教えたくないのだ。でもきっと軽い病気。
長い入院も、外出禁止も、過剰な心配からきているはず。
多分もう、完治している。
だって、どこも痛くないし、ちゃんと各器官動くし。
長い入院生活は自由で、我儘がきいて悪くない。個室なのもいい。
それに、好きな絵をずっと描いていられる。
でも。
「まま、庭も出ちゃだめなの?」
「・・・だめよ」
「じゃあ、部屋変えたい。ここじゃ木のせいで空が見れないよ」
「・・・無理よ」
外に出て新鮮な空気を吸って澄んだ本物の空を描くことが出来ないのは私にとって、苦だった。
窓を隔てて見える空なんて、偽物。
私は本物を描きたいのに。
無理。とかダメとしか言ってくれない母が仕事にでてしまった。
今日は予定がなかった。
青色の絵の具がなくなったから絵も描けない。
本も、なんか読む気がしない。
ので、とりあえずベッドにダイブ。
「なにしよっかー?」
ベッドの上に転がっていたハムスターのぬいぐるみ(命名:ぽわ)に話しかける。
応えてくれないけれど、なんだかそれが楽しくなって、今日も外にいけないね。まま、何時に帰ってきてくるかな。などとぶつぶつ話していた。
数分して、淋しくなってきたところでスライドドアが開いた。
「恵凛ちゃん、久しぶり~」
その声は。
私はものすごい勢いで顔をベッドから上げた。
「しぃちゃん!!」
この、しぃちゃんこと、紫(ゆかり)は私にとってかなりの頻度で見舞いに来てくれる大事な人。近所のお兄さんで、今は大学生だと思う。
「・・・と、誰?」
しぃちゃんの隣にはもう一人、私の知らない男の人がいた。