星空の四重奏【完】
「うっ……」
気がついたとき、私は呆然とした。身体も頭も働かず、ただ白い天井をぼーっと眺める。
腕には点滴。口には酸素マスク。外したくても外せない。
身体全体が鉛のようで、重苦しい。息苦しい。
しばらく天井を見つめたまま動かないでいると、カチャッとドアが開く音がした。
「今頃レンたちどこにいるんだろうね」
「さあ?もしかしたらゲルベルの森で死んでるんじゃないの?」
「え、それ本気で思ってる?」
「思ってるわけないでしょ。冗談よ冗談。事実が公表されてから息が詰まりそうだから言ってみただけ。もう、皆ピリピリしててこっちが具合悪くなりそうよ」
「だよね……具合が悪いと感じただけで、俺の身体は平気なのか?魔物になってないか?……って。しつこいし、なるわけないじゃん」
「ホント、頭イカれてるわ!イライラする~!」
そんな会話が耳に入って来て、ルカンさんとグレンさんだな、と思った。
二人はやっぱり仲が良いんだな……羨ましいな。私もレンさんと……もっと仲良くなりたい。
それでちょっぴり泣きそうになっていたら、覗いてきたルカンさんと視線がバッチリ合ってしまった。
「「あ」」
と、同時に声を出す。すると、みるみるうちに私の青い瞳ではなくルカンさんの青い瞳に涙が溜まっていった。
「シーナちゃん!ああ!良かった……本当に良かったぁぁぁ……」
と、さっきまでの不機嫌さはどこへやら、ルカンさんは私のベッドの上で泣き崩れた。
続いて驚いたようなグレンさんの顔が覗いてきた。途端にグレンさんも顔を穏やかにする。
「ああ……良かった。レンたちは上手くやったんだね」
「あの……」
私はマスクでくぐもる声で必死になって言った。
「レンさんたちは……どこにいますか?」
今すぐ、会いたい……!会わせて……!
会ってお礼がしたい。助けてくれたお礼。
ずっと、呼んでいたよね……?レンさん……?