言の葉(ことのは)
『お…とぅ…さん…』


私はそのとき
目の前の現状が分かっていなかった




いや

分かっていたのかもしれない…



だからこそ

自然に涙がこぼれ

それ以上…何も言えなかったのかもしれない…







タッタッタッ―…





私は父のベットの横に走っていき



ただ ただ
父の手を握っていた



そこには


あったかくて大きな父の手ではなく



力なく私の手を握る優しい父の手があった…
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