ナンパ男がしつこい件について




何も言えるはずがない。



そんなことに、変に口を出したらいけないような気がした。



「俺も今よくわかんない。




俺だって恋愛上手じゃないよ。


前言ったみたいにホスト始めてからしか付き合ってないし。」




椋太郎がこんなに長く話すのは新鮮に感じた。





こんなにも長く、この声が聞けるのはすごく違和感があって。





「笑顔にしたい」




「…?」



「って思うだけ。今」




こいつらしくない。




「…変なこと言わなくていいのに」




少しだけ笑みを浮かべると、




「俺いっつも睨まれてばっかなんだよ?」




それはまるでか弱い乙女かのように言う。




そんなことを思ってると、





突然椋太郎が立ち上がった。




そして、あたしの目の前に立つ。




「な、何…」






< 108 / 468 >

この作品をシェア

pagetop