ナンパ男がしつこい件について
そしてその笑顔はどんどん近づいていく。
この雰囲気は…
もしかして、
もしかすると…
「ちょっとストップ」
「…いいとこだったろ。今」
「うるさい」
目線を反らす。
「キスしたことないの?」
その言葉に顔が赤くなった。
急いで話をそらそうと思って、
そんなことよりも知りたいことがあって、
口を開いた。
「ってかほんとにいいの?こんなバカで」
「バカとか関係ないじゃん。一緒にいたいって笑わせたいってだけじゃだめ?」
そんなことを言われたら………何も言い返せない。
「こっちむいて」
「やだ」
「今大切な話してるから。ちゃんとこっち見て」
両手が頬に添えられて椋太郎の方に向かせられる。