ナンパ男がしつこい件について
「あれ?唯花もう帰るの??」
普段はのろのろ帰るのに、急いで帰ろうとするあたしを見て驚いたような顔してる。
「あー…まあね…」
話をそらす。
「たまには早く帰ろうかなって」
「そっか!じゃあね」
まだ皆には彼氏ができたと言ってない。
急いで駅に向かう。
駅に着くと、知ってる後ろ姿が見えて取りあえずどつく。
「お、新しい挨拶だな」
後ろを振り向く。
「あれ?今日髪巻いてる?」
髪を撫でられた腕を叩く。
「いってー」
叩かれた腕をぶんぶん振る椋太郎。
その様子を見てると、「お待たせー」
という声。
その声の方を向くと、
あの金髪ホストがそこには立っていた。
「………は?」
「は?ってひどいなー。俺も今日一緒なのに」
唖然としてしまう。
「椋太郎が呼んだの?」
「いや、昨日の電話してた時横にいて、俺もゆっくり唯花と話がしてみたいらしいよ」
…何を言ってるの?
「あ、頭大丈夫?」
「え?なんで?」
「それじゃデートにならないじゃん」