ナンパ男がしつこい件について
「そりゃあそうだろうね」
「あ、自分でわかってるの?」
…やっぱりホストは嫌いだ。
こんな本性で商売の為なら簡単に女の子をおだてる。
全部わかってるんだから。
「これだからホストは嫌いなんだよ!」
気がついたら叫んでた。
椋太郎も金髪ホストも驚いたような表情をする。
「全部…全部嘘じゃんか。」
「唯花…?」
「もうやなんだよ。そんな嘘に惑わされるのも、心をズタズタにされるのも」
いままで溜まりに溜まってた毒が外へと出ていく。
「だから。…だから無理矢理『かっこいい』が好きだと思うようにしてたのに。
椋太郎への気持ちは全然違うし。
これが好きってわかったし。
大嫌いなのに」
自分でも言ってる意味がわからない。
その場自体はガヤガヤしてたけど、
あたしには静かに思えた。
「もう、やなんだよ…」
もう一度呟くように言うと口を閉じた。
でもなぜか少つすっきりしていた。
言いたいことを誰かに言えたからかも知れない。