ナンパ男がしつこい件について
「………スイーツ」
「え?」
「スイーツ、食べよ」
そうだ、こういうときは甘いものに限る。
腕を離して体が離れた。
何か言いたげな顔をしている椋太郎。
「…………」
そんな凝視するなよ…
と、目線で送ってみてもムダ。
「行こっか」
やがてそうやって言って何事もなかったかのように
さしのべられた手を、丁重に叩いて遠慮した。
「どこ行くの?」
「駐車場」
「…?」
椋太郎のズボンのポッケから鍵がジャラジャラと出た。
「俺、車運転できるし」