ナンパ男がしつこい件について
「唯花ー?どうしたの?とうもろこしできたよ!」
「お?まじで?おいしそう!」
こんなことできるのもあともう少しなのか。
…なんかやだな。
みんなこれからの受験が成功しますように。
みんなで笑顔で卒業できますように。
とうもろこしを食べていくと、段々お腹一杯になった。
「ちょっと抜けるね」
「わかった」
華和は椋太郎の方を見て笑う。
駐車場の方にむかって歩いていく。
コンクリートの道から砂利へと変わっていった。
駐車場に入ると、少し足が止まってしまった。
「…………」
風がぬるい。
運転席の右側の窓に立つ。
「寝顔かわいいじゃんか」
誰もいないのに呟いてしまった。