ナンパ男がしつこい件について
「椋太郎目、ぱっちりしてるね」
横顔を見つめて言う。
「運転手が寝たらどうすんの」
「んー…」
眠い。
窓にうつる自分の顔の目の細さが半端じゃない。
「寝なよ、唯花も」
「うん…」
この車好きだ。
匂いも、走ってる時の音も。
片手で椋太郎があたしの頭をポンポンとした。
「おやすみ」
「おやすみ」
みんなも後ろで携帯をいじってるか寝てるかぼそぼそと喋ってるかだ。
来週は校内推薦の結果が出る。
そしたら一ヶ月後には入試。
そんでテスト。
目の前の忙がしさに不安になるけど、椋太郎がいれば大丈夫だって自然と思えた。