ナンパ男がしつこい件について
「気持ちいい」
されるがまま状態の椋太郎。
「髪、良いにおいするね」
サラサラの髪を丁寧に乾かしていく。
「上手いね、唯花」
「そんことないよ」
ある程度乾かして、ブラシで髪を流す。
「サラサラ」
椋太郎は自分の髪の毛を触りながら言った。
「そうだね」
白に近いような金髪に触れる。
「ありがと」
色んな意味を込めて言う。
「おいで?」
椋太郎があたしの方に腕を広げた。
椋太郎の方に体を預ける。
目が合うと、笑った。
「ははっは…は」
笑いながら、精一杯泣いた。
悔しくて。
悲しくて。
不安で。
今の感情が全部集まって涙が流れていった。
椋太郎は、それを全部受け止めた。