ナンパ男がしつこい件について




「…………」






ぶっすーという顔をしてる。



横顔をじっと見つめた。




そこまで長くない睫毛。



大きい目。



高い鼻。



「椋太郎?」



無言でページをめくっていく。



最後にみんなでメッセージを書き合う部分を見て、本を閉じた。




「…あいつは、唯花のこと好きだったの?」




………え。



「付き合ってる時は手繋ぐとかはしたけど、それ以上は何もしなかったし、…好きとかは卒業式にしか言われなかった、」




「でも別れたんだ?」




「高校がばらばらだったから」




椋太郎は、こっちを見る。




「なんで高校一緒にしなかったの?」




あたしは少し驚いた。




椋太郎がこんなにもあたしについて聞いてきたのは初めてだったから。





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