ナンパ男がしつこい件について
「単純にバカだった…」
椋太郎が吹き出す。
「ちょ、!最後まで話を聴け!」
「悪い悪い」
「あたしから別れた。『ごめん』って。」
すぐそこにあった四角いクッションを持って抱き締める。
「…高校がばらばらでも付き合える自信がなかった。
それって好き、ってことじゃないって思った。
どれだけ離れても『好き』だから一緒にいれて、気持ちが揺るがないでいれる自信があるのかなって」
「へえ」
なぜか椋太郎は笑った。
「俺ならどれだけ離れても気持ちが揺るがない?」
「うん」
椋太郎をまっすぐ見据える。
「ほー…」
軽く耳にかかってる髪を耳にかけた。
右耳にだけついてるピアスが光に反射する。