ナンパ男がしつこい件について
「どこから回る?」
「…キリン?」
見渡す限り視界に入ってくるのはキリン。
「確かにキリンしか見えない」
歩みを進めていく。
椋太郎があたしの手を自然にとった。
「………」
「何照れてるの?」
「手、やっぱ冷たいなあって思っただけ」
「末端冷え性だから仕方ない」
そりゃそうなんだけど。
「ていうかカバン持つよ、教科書とか入ってて重いでしょ?」
重い…?
「別に置き勉ばっかだし大丈夫」
「出た、唯花のさぼり」